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全世界株式 vs 米国株式|インデックス投資でどちらが有利か徹底比較

By Staff | 2025-08-15

Category: インデックス投資

インデックス投資を始めるとき、多くの投資家が悩むのが 「全世界株式を選ぶべきか、それとも米国株式に集中すべきか」 という問題です。

 

S&P500やNASDAQ100といった米国株ETFは、過去数十年で世界を上回る成長を見せてきました。


一方で、全世界株式インデックスは「地域分散」という強みがあり、長期的に安定したリターンを目指せる選択肢です。

 

この記事では、両者の特徴、メリット・デメリット、歴史的なパフォーマンス比較、投資家タイプ別の適性を解説し、最後に「ハイブリッド戦略」も紹介します。

 


 

全世界株式インデックスとは?

 

全世界株式インデックスは、世界中の株式市場に幅広く分散投資 するための指標です。

 

代表的な投資商品

 

  • VT(Vanguard Total World Stock ETF)
  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • 楽天・全世界株式インデックス・ファンド

 

構成比率としては米国株が約50〜60%を占め、残りは日本・欧州・新興国などで構成されます。

 

メリット

 

  • 地域分散によるリスク軽減:米国株のみに依存せず、世界全体の成長を取り込める
  • 新興国の成長を享受:インドや東南アジアなど、新興国経済の拡大を反映できる
  • 特定地域の景気低迷を緩和:米国株が不調でも他地域がカバー

 

デメリット

 

  • 成長鈍化地域も含まれる:欧州や一部新興国は成長率が低く、全体リターンを押し下げる
  • 米国株の高パフォーマンスを享受しきれない

 

 全世界株式は「守りの投資」として有効であり、長期の安定性を求める投資家に向いています。

 


 

米国株式インデックスとは?

 

米国株式インデックスは、米国市場の株式に集中投資する指標 です。

 

代表的な投資商品

 

  • VOO / IVV / SPY(S&P500連動ETF)
  • VTI(米国全株式ETF)
  • QQQ(NASDAQ100 ETF)
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

 

米国市場は世界最大の経済規模を誇り、GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)をはじめとする世界的企業が多数上場しています。

 

メリット

 

  • 世界を上回る成長率:過去数十年のパフォーマンスは全世界株式を凌駕
  • イノベーション企業が豊富:テクノロジーやヘルスケア分野で競争力が高い
  • 会計基準や開示が透明:投資家にとって安心感がある

 

デメリット

 

  • 集中投資リスク:米国経済に依存し、リスク分散効果は限定的
  • 通貨リスク:米ドルに資産が集中

 

米国株式は「攻めの投資」として有効で、高リターンを狙いたい投資家に人気です。

 


 

過去のパフォーマンス比較

 

過去の実績を振り返ると、米国株式は全世界株式を上回るリターンを残してきました

 

  • 2003〜2023年の20年間

     

    • 米国株式(S&P500):年平均リターン 約9〜10%
    • 全世界株式:年平均リターン 約7〜8%

       

背景には、IT企業を中心とする米国の成長力や、世界的なドル需要の高さがあります。

 

ただし、常に米国株が有利とは限りません。

 

  • 1970年代の米国スタグフレーション期:米国株が低迷し、他地域の株式が相対的に優位
  • 2000年代前半の新興国ブーム:中国やブラジルの成長で全世界株式が強みを発揮

     

「長期的には米国株が優位だが、特定の局面では全世界株式がリスク分散効果を発揮」する、と言えます。

 


 

為替リスクの違い

 

日本から投資する場合、円/米ドルの為替変動 が投資成績に大きく影響します。

 

  • 米国株式

     

    • 米ドル集中
    • 円高局面では資産価値が下がる
    • 円安局面では大きな追い風

       

  • 全世界株式

     

    • 複数通貨に分散される
    • 為替リスクが相対的に緩和される
    • ただし新興国通貨リスクも含む

       


 

投資商品例(ETF・投信)

 

投資家が選べる代表的な商品を整理しておきます。

 

全世界株式

 

  • VT(ETF):世界中の株式に1本で投資可能
  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):投資信託の定番
  • 楽天・全世界株式インデックス・ファンド

     

米国株式

 

  • VOO / IVV / SPY:S&P500連動ETF
  • VTI:米国全株式ETF
  • QQQ:NASDAQ100に集中投資
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

     


 

投資家タイプ別おすすめ

 

安定性を重視する投資家

 

  • 世界全体の成長を取り込みたい
  • リスク分散を最優先したい
    全世界株式インデックス

 

高リターンを狙う投資家

 

  • 米国の成長性を信じる
  • 短期の値動きより長期リターンを重視
    米国株式インデックス

 

迷っている投資家

 

  • 基本は全世界株式をベースに、米国株の比率を高める
  • 例:全世界株70%+S&P500 30%

 


 

ハイブリッド戦略

 

両者を組み合わせ、自分のリスク許容度に応じた比率を決める方法もあります。

 

例:50%ずつ

 

  • 全世界株式 50%
  • 米国株式 50%

 

これにより、米国の成長も享受しつつ、地域分散も確保できます。


定期的にリバランスすることで、ポートフォリオの安定性が高まります。

 


 

よくある質問(FAQ)

 

Q1. 積立NISAではどちらを選ぶべき?
→ 長期・非課税運用が前提なので、コストが低い「eMAXIS Slim 米国株式」や「全世界株式(オール・カントリー)」が有力候補。

 

Q2. 初心者はどちらが向いている?
→ リスク分散を重視するなら全世界株式。シンプルに成長性を狙うなら米国株式。

 

Q3. 為替リスクはどちらが大きい?
→ 米国株式はドル集中で円高に弱い。一方、全世界株式は分散効果があるが、新興国通貨リスクを含む。

 

Q4. 長期的にどちらが有利?
→ 過去の実績では米国株式が優位。ただし将来も続く保証はなく、分散を重視するなら全世界株式。

 


 

まとめ

 

米国株式は、過去の実績を見ると他の地域を大きく上回るリターンを残してきました。


革新的な企業群と資本市場の厚みがその強さを支えていますが、一方で米国に集中することで景気変動やセクター偏りの影響を受けやすい面もあります。

 

これに対して全世界株式は、地域を分散することで安定性を高められる点が魅力です。


リターンは平均化される傾向にありますが、特定の国や市場に依存しない「世界経済全体への投資」という明確な軸を持つことができます。

 

どちらが優れているかを一概に決めることはできません。


リターンを重視するなら米国株中心に、安定性を重視するなら全世界株中心に、そして両者の長所を組み合わせたハイブリッド戦略を取るのも一つの考え方です。

 

重要なのは「最適解」よりも「続けられる解」を見つけることです。


長期で市場に居続けることが、最終的な成果につながります。

 

より広い視点から全世界株ETFの仕組みや投資戦略を整理したい方は、


VT徹底解説|全世界株ETFの特徴・リターン・投資戦略


をあわせてご覧ください。全世界株投資の全体像をつかむのに役立ちます。

 

 

 

Tags: インデックス投資

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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。